パワーステアリングポンプの役割
油圧パワーステアリングポンプは、ステアリング操作を補助する重要な部品です。
エンジンのクランクシャフトの回転を利用してベルト用いてパワーステアリングポンプのプーリーを回転させ、ポンプ内部でオイル(フルード)を加圧し、パワーステアリングラック内へと送られます。
この油圧の力によって、特に低速走行時にタイヤと路面の摩擦抵抗でハンドルが重くならないようにステアリングがスムーズに操作できるようになります。
ベーン型オイルポンプの構造と動作
ベーン型オイルポンプは、エンジンによりベルト駆動される油圧ポンプです。
内部はローター、ベーン、カムリングで構成されており、ローターの回転によってベーンが遠心力で外側に押し出され、カムリングに沿って滑るように動きます。
この回転運動によりポンプ内部の容積が変化し、オイルの吸入と吐出が行われます。
フローコントロールと余剰流量
ポンプの吐出量は回転速度に比例して増加するため、エンジン回転が高くなると必要以上にオイルを供給してしまう可能性があります。
この過剰供給を防ぐためにフローコントロールバルブが作動し、規定以上のオイルはリザーバータンクへ戻す構造になっています。
これにより、油圧を安定させ、無駄な負荷やフルードの劣化を防ぎます。
劣化とオーバーホールの重要性
パワーステアリングポンプの内部部品(シールやベアリングなど)は、長年の使用により摩耗し、
フルード漏れ、異音、油圧不足などのトラブルを引き起こす可能性があります。
こうした症状が出る前に、オーバーホール(分解・洗浄・摩耗部品の交換)を行うことで、
ポンプの本来の性能を取り戻し、長く安心して使用することができます。
よくある故障の症状と原因例
- フルード漏れ
- 長期間の使用によるオイルシールやOリングの劣化・ひび割れ
- シャフト部分の摩耗
- ホースや配管の劣化・亀裂・接続不良
- フルード不足または泡立ち、ポンプからの異音(うなり音など)
- ベーン、カムリングの摩耗
- ベアリング摩耗
- フルードのエア混入によるキャビテーション
- フルード不足による潤滑不良
- ステアリング操作時の重さの増加
- フルード不足
- ポンプ内部のベーン摩耗や圧送力不足
- フローコントロールバルブの動作不良
- パワーステアリングベルトの緩みや劣化
- パワーステアリングラック側の異常