オルタネーターの基礎知識とよくある故障例


オルタネーターの役割

オルタネーターは、エンジンの回転を利用して電気をつくり出す装置です。車のライトやカーナビ、エアコンなどの電装品に電力を供給したり、バッテリーを充電したりする役割をします。
エンジンがかかっている間は、車の電気のほとんどをオルタネーターがまかなっています。

主な構成部品

  • プーリー
  • ローター(回転する電磁石)
  • スリップリングとブラシ
  • ステーターコイル
  • ダイオード(整流器)
  • レギュレーター
  • ファン
  • ケース(ハウジング)

発電のしくみ(部品の働きとあわせて)

  1. エンジンがかかると、クランクシャフトの回転がベルトを通じてオルタネーターのプーリーに伝わります。
    エンジンの回転力を受け取って、内部のローター(回転する電磁石)を回転させます。
  2. ローターは、スリップリングブラシを通じて電気(励磁電流)を受け取り、電磁石として機能します。
    このローターが高速で回転することで、周囲にあるステーターコイルに磁界の変化が生まれます。
  3. 磁界の変化によって、ステーターコイルの中に交流電流(AC)が発生します。
    車のバッテリーや電装品は直流電流(DC)で動くため、ここでダイオード(整流器)が交流を直流に変換する役割を持っています。
  4. 次に、レギュレーターが電圧を一定に保ち、バッテリーや電装品に安定した電力を送ります。
  5. オルタネーターは高速で回転し続けるため、内部に熱がこもります。
    この熱を逃がすために、ファンが内蔵されており、空気を取り込んで冷却します。

これらすべての部品は、ケース(ハウジング)に収められています。

よくある故障の症状と原因例

  • バッテリー警告灯が点灯する
    • オルタネーターの発電不足(レギュレーター不良、ブラシ摩耗など)
    • ベルト
    • 接続不良(配線の断線・腐食)
    • レギュレーターが異常電圧を出力
  • バッテリーが頻繁に上がる(新品に変えたばかりでも)
    • オルタネーターの充電不良(出力電圧・電流が不足している)
    • ステーターコイルやダイオードの故障
    • 暗電流(イグニッションOFFでも電力を消費する故障)
    • バッテリー端子の腐食または接触不良
  • エンジンのかかりが悪くなる/始動できない
    • オルタネーターの故障によりバッテリーが充電されていない
    • バッテリー
    • バッテリー配線の断線・腐食
  • ヘッドライトや電装品の動作が不安定になる
    • 出力電圧が不安定(レギュレーターの故障)
    • スリップリングやブラシの摩耗
    • オルタネーターの出力不足
    • ダイオードの不良
  • エンジンルームから異音がする
    • オルタネーター内部のベアリング劣化や破損
    • ドライブベルトの鳴き(張り過ぎ・緩み・劣化)
    • ファンの破損や干渉音
  • 異臭がする(ツンとする匂い)
    • オルタネーターの故障によりバッテリーに過剰に電力が供給
  • 走行中にハンドルやブレーキが重くなる
    • オルタネーターが故障し電動アシスト機能が低下又は停止
  • 走行中にエンジンが停止する
    • オルタネーターの出力不足で電装系に十分な電力が供給されない
    • 過電圧または過電流によりECUが保護動作で停止
    • バッテリーが完全放電
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