パスカルの法則


パスカルの原理(定義)

密閉された容器の中の液体に圧力をかけると、その圧力は液体のすべての方向へ等しく伝わる。
液体(水やオイル)は、密閉された空間で押されると逃げ場を探しその力を全体で受ける性質を持ちます。
液体は圧縮されにくいので、力が弱まることなく他の場所へ均等に伝わります。

液体にかかる圧力は同じでも、面積が大きければ力も大きくなります。
圧力(Pa) = 力(N) ÷ 面積(m²)
力(N) = 圧力 (Pa)× 面積(m²)

この性質を利用したのがブレーキ装置です。ペダルを踏むと、小さな面積のピストンがブレーキオイルを押し、その圧力が配管を通じて大きな面積のピストンに伝わります。小さな力が大きな力に変わり、ピストンがブレーキパッドを押してブレーキローターを挟み、車を停止させます。

空気(気体)も液体と同じように圧力を全体に伝える性質があります。
しかし気体は液体よりも圧縮しやすい性質があるため、圧力は全体に伝わるものの、力の伝わり方に変化が生じやすく、安定性や正確性では液体に劣ります。
この性質を利用したのが、タイヤです。タイヤがふくらむのは押した空気の力が、タイヤ全体に均等に広がる、タイヤのすべての壁面に、同じ力がかかることになります。

何故自動車には水ではなく油が使われるのか

  • 潤滑性がある
    • 油は部品の間で潤滑剤の役割を果たすため、摩擦や摩耗を減らし、機械の寿命を延ばします。
    • 水には潤滑性がないため、金属部品がすぐにすり減ってしまいます
  • 腐食を防ぐ
    • 水は金属部品を錆びさせる
    • 一方、油は金属表面をコーティングし、防錆効果があります
  • 沸点が高く、蒸発しにくい
    • 油は水よりも沸点が高いため、高温環境でも気化しにくく、安定した圧力伝達が可能です。
    • ブレーキなど高温になる場面では、蒸発しやすい水は不向きです。
  • 適度な粘性がある
    • 油は水より粘性が高く、小さなすき間からの漏れを防ぎやすいです。
    • ただし、粘性が高すぎると動きが重くなるため、油圧用に調整された専用オイルが使われます。
  • 凍結しにくい
    • 水は0°Cで凍りますが、油は低温でも凍りにくいため、寒冷地でも使用が可能です。
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